2026.07.22
カテゴリ: あちこち訪問記(海外),構造物を訪れて
【連載】揚子江に架かる長大橋を訪ねて 第2回 鎮江と揚州を結ぶ潤揚大橋 後編
回は、潤揚大橋が架かる地域の背景と、吊橋・斜張橋からなる橋の概要などを見てきた。後編では、展示館、そしてテクニカルツアーで見た橋の技術的な見どころをたどってみたい。
橋を学べる大規模な展示館
会議会場のホテルから徒歩5分ほどの場所には、地下式の大規模施設である潤揚大橋の展示館がある。(写真1)
会議の合間を見つけて見学したが、館内には、吊橋の模型をはじめ、補剛桁や主ケーブルの一部が展示されていた。橋台や橋脚の大規模な基礎工事についても詳しい説明がされ、橋がどのようにして造られたのかを視覚的に容易に理解できるよう工夫された展示内容になっていた。(写真2)
北側の橋台は-45m、南側の橋台は-26mの基礎の深さから、凍結工法、隔壁およびケーソン工法を併用して、工事の安全性と経済性を高めていた。
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写真1 潤揚大橋の展示館 写真2 潤揚大橋の展示館の内部
中央径間が約1,500mという長大橋でありながら、吊橋の主塔は高さ約210mの門形の鉄筋コンクリート造で、柱の断面は箱形である。外寸法は下部が6m x 12.5m、上部が6m x 9.5mで、柱を結ぶ3本の横梁は箱形断面のPCで造られている。主塔と横梁の形状寸法と配置位置は、力学的安定性と景観を考慮して決定したとのことである。このように周囲の景観との調和も考えて設計されている点が、潤揚大橋の魅力の一つだと感じた。
橋台のコンクリートに見る技術力
テクニカルツアーは、中国以外の会議の出席者がほとんど出席したが、その前半に潤揚大橋の南橋、吊橋北側の橋台を見学した。主な見学内容は、主ケーブルの定着方法や換気設備である。主ケーブルの防食には、本州四国連絡橋において世界で最初に採用された空気送風式の方法が用いられていた。(写真3・4)
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写真3 潤揚大橋の南橋北側の橋台 写真4 主ケーブルの定着
前編でも書いたが、会議期間中はホテルから潤揚大橋までを朝の散歩コースとして歩いていた。その時すでに気づいていたのだが、竣工から5年が経過しているにもかかわらず、橋台のコンクリートには温度ひび割れがほとんど見当たらなかった。これは大変印象的であった。設計耐用期間は100年とされており、フライアッシュを多量に混合したコンクリートによって、温度ひび割れを抑える技術がしっかりと確立されていることがうかがえた。(写真5)
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写真5 温度ひび割れの制御された橋台
潤揚大橋は、鎮江市と揚州市を結ぶ交通インフラとしてだけでなく、周辺地域をも大きく変化させた橋であった。同時に、周囲の景観との調和を考えた設計や温度ひび割れを抑えた橋台コンクリートなど、技術者たちの努力と土木技術の高さを感じさせる橋でもあった。実際に橋を訪れると、巨大な構造物としての迫力とともに、地域経済をも支える静かな力強さをも感じることができる。次回からは、前後編に分けて竣工時に世界最長となった蘇通大橋を紹介していく。
(理事長 辻幸和)
※本稿は、コンクリートテクノ2015年12月号/Vol.34. No.12(pp.26~29)に掲載されたコラム
「鎮江と揚州を結ぶ潤揚大橋」を元に追加・修正したものです。
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